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> 短編 > お金の価値
お金の価値
初出:NigtTalker GS・絶チル小ネタ掲示板
方言協力:サスケ
『十円チョコでええのん?』
自問自答しても、結局結論を出せず、そのまま十円チョコをあげてしまった今年のバレンタイン。
あげた相手は、ウチの所属するバベルの上司、皆本光一はん。
決して、お金が惜しかった訳やない。
でも、いざチョコを買おうとして、気ィ付いてもうたんや。
ウチは本当に皆本はんが好きなんやろか、と思っている自分に。
同僚の薫と紫穂にも呆れられたけど、ウチは最初、普通のチョコを買おうとしてたはず。
でも、いざ財布を握り締め、売り場に行ったとたん、迷ってしもうた。
どんなやつなら喜んでくれるんやろ?
お金掛けてもええんやろか?
悩んで悩んで、分からんようになって、つい、ぽつんと置かれた安いチョコを手にしてもうてた。
ほとんどの人は手を伸ばさず、見向きさえされず、でも、確実に需要があるそれ。
バベルでの自分と、実家での自分と、それが全て重なって見えたんは、偶然なのかもしれへん。
チームの仕事に貢献してる言うたら聞こえはええけれど、ウチの仕事は単なる運び屋に過ぎへん。
サイコメトラーの紫穂は、皆本はんの指示を的確に掴んで彼をサポートしている。
サイコキノの薫は、指示の実行役として、確実に彼の役に立っている。
でも、ウチは?
テレポーターでしか出来ない仕事って、あまり無いやん。
みなを連れて行っても、それだけで仕事が片付く訳やないし、結局のところ、便利屋程度としてしかウチは自分を掴めてへん。
実家でだって、そうや。
お父はんは会社で忙しいし、病弱だった弟のため、お母はんも忙しい。
一応は健康なウチが京都におらんほうが、ずっと実家のためになってるかもしれへんと思うのは、間違いなんやろか?
最近は弟も元気になり、なんぼか精神的余裕が出てきたようやし、実家にもウチの居場所があるよう感じるけど、それでもまだ疎外感はある。
それに、ウチはお金にうるさい言われているけど、そんなん、仕方ないやん。
だって、ウチの契約金で親の会社が持ち直したんやで。
お金があればウチが東京に行くこと無かったかもと想像したら、ちょっとくらいやかましく言うたってええと思わんか。
お金で解決できへんことがあることは、十分に知っとる。
でも、どうしても、お金に執着してしまうんや……
そんなウチを、皆本はんはどう思ってるんやろ。
ここしばらくの付き合いで、彼が今までの上司と違うんは気ィ付いてた。
たぶん、それを最初に気付いたのは紫穂やろと思う。
能力のせいか、いつも達観しているあいつが懐くんやからなー。
珍しゅうて、何かの冗談かと思ってもたやんか。
その後、珍しくてじっくり観察してたら、ウチにも分かってしまった。
絶対に、紫穂は皆本はんを愛してるって。
こないだのチョコの一件かて、そやなかったら、あんなことせーへんもんなぁ。
薫も、いつものように彼へお仕置きしてるけど、それでもきちんと手加減してるのは分かってる。
普通にチョコ買うてたし、あいつも、色々と思うところがあるんやろな。
それで、ウチは何をしてるん?
虐めて楽しむ訳でもなし、心を読まれても怒られないほど信頼されている訳でもなし、いつも見てるだけ。
ちィちゃなチョコを買ってやるだけの、彼の指示通りにテレポートするだけの、そんな安っぽい女の子に、皆本はんが本当に振り向いてくれるん?
彼の表情をただ見てるだけで、それで、何が変わるって?
――何も変わらへんやん!
彼への想いは、まだウチ自身でも分からへん。
でも、他の二人に負けたくないとは思う。
それが、恋愛であっても――や。
紫穂を出し抜くのはきっついんやけど、テレポート以外でも何かアピール出来れば、勝機は出てくるはず。
二人より勉強が出来るのは知っとるから、そっち方面で攻めたらええやろか?
でも、朧はんの財務会計処理能力には負けるしなぁ……
ああっ、もう、こうやって考えても意味無いって!
ウチは、取りあえず自分に何が出来るか、あちこち飛び回って検討することを決心した。
バベル内部には色々と資料がそろってるはずやし、能力を制限されてても、超度四以上にはなるんやから気付かれる前に逃げることは出来るやろ。
ま、局長に言っておけば比較的自由に出入り出来るんやけど、テレポートしたほうが早いからなー。
それで、貴重な時間を短縮出来るってことは、タイム・イズ・マネーを実践出来るってことやないか!
色々勉強して、内面から女に磨きを掛けたる。
きっとウチにも勝機はあるはず。
絶対に皆本はんに認めてもらって、あんなことやこんなことや……
そんでもって、最後にはしがみつきながら『光一はんのフケツッ!!』って言ってやるんや。
どこに逃げても捕まえたる。
世界最速のウチから逃げられるとおもうたら、大間違いなんやからな!!
―終―
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